NANDの回復は期待できないのか?

DRAMもNANDも2023年第2四半期が底をつき、2023年第3四半期から徐々に回復が期待できるのはすでに述べた通りだ。 しかしそれはパソコンやスマートフォンの在庫調整が終わったという水準で、今後の需要がどれだけ回復するかは分からない。 パソコンとスマートフォンの需要が活性化するためには、第5世代移動通信(5G)を活用したサービスとアプリケーションが起きることが重要だと筆者は本連載でも過去に何度も主張してきた。 残念ながら現時点で「まさにこれだ」というキラーサービスはどこにも見当たらない。

一方、チャットGPTに代表される生成型AIは次第に拡散しており、AI加速器で高いシェアを誇るNVIDIAは急速に売上を伸ばしている。 NVIDIA以外にAI関連薫風を受けている企業はまだ見当たらないが、AI加速器の需要増加はDRAMの需要を活性化させる可能性が高い。 HBMという高速データ伝送DRAMをAI加速器周辺に配置する必要があるためだ。 DRAMに比べて読み書き速度が遅いNANDは、このような特需を期待できない。

筆者は「生成型AIが本格的な5Gキラーサービス開始の契機になるのではないか?」という期待をしている。 ただし、そうならなかった場合、DRAMのみ需要が増加し、NANDは不発に終わるという事態が起きかねない。

ただ、NANDは3D構造に転換してからDRAMに比べて投資負担が大きくなっている。 「HDDに代わるNANDは需要成長率がDRAMより高いため、投資負担が大きくても大丈夫だ。「シナリオを信じて各社は3DNAND競争を続けてきた。 しかし、最近の需要低迷は、各メモリーチップメーカーの体力を判断する結果を生んでいる。 何より、キオスクシアの実績がそのような状況を物語っていると言える。

キオキシアの選択肢