不買運動「NO JAPAN」を水面下で生き延びたZ世代の日本観
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ー前略ー
(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)
 日本の若者に人気の女性アイドルグループ「NiziU」の韓国デビューが発表された。
10月30日にファーストシングル「Press Play」がソウルの店頭にも並ぶという。
日本デビューは2020年12月だったから、それから3年近くが過ぎての韓国デビューだ。ファンからすると「ようやく」というのが正直なところだろう。

 NiziUは韓国のJYPエンターテインメント(以下、JYP)所属の「K-POP」グループだ。
日本のソニーミュージックと共同で実施されたオーディションを勝ち抜いた日本人9人をメンバーとして2020年に結成された*1。

 JYPにはガールズグループ「TWICE」やボーイズグループ「2PM」といった、これまでK-POPを牽引してきたアイドルグループが所属しており、
韓国4大芸能事務所の1つに数え上げられる。
これらのグループをプロデュースしたJYP創始者であるJ.Y.パークことパク・ジニョンも頻繁にメディアに登場している。

 そうした事務所に所属しているNiziUは、なぜ、なかなか韓国デビューしなかったのか。
それには当然、パク・ジニョンの意向が反映されているとみられる。

 そもそもNiziU結成のきっかけとなった「K-POP3.0プロジェクト」は、アイドルグループを現地の人材のみで結成して
現地でデビューさせるというものだった。
そのため、NiziUはK-POPアイドルグループでありながらも、日本人のみで構成され、日本でまずデビューしたのだった。

 それでも、日本のファンの間では、デビュー当初からNiziUの韓国デビューは「いつ?」との関心がSNSなどで絶えなかった。
背景としては、コロナ禍の影響や、最悪と言われ続けてきた日韓関係が考えられる。

・セクシーさより「カワイイ」演出
ー中略ー

 そのような状況では、「売る」ことを最優先する芸能事務所としてはNiziUを韓国デビューさせるわけにはいかなかっただろう。
韓国が「日本人」と「日本製」を受け入れる時期を見計らっていたはずだ。

 そもそもNiziUは、TWICEなどのK-POPガールズグループと比べると、日本的な「カワイイ」を意識した演出が特徴的だ。
確かに、TWICEのプロモーション動画などにはかわいらしさが漂う演出もあるが、
YGエンターテインメント所属のガールズグループ「BLACKPINK」がそうであるように、
K-POPガールズグループの最大の特徴は大人の女性らしい演出だ。
しばしば、韓国でも「セクシーすぎでは?」と物議を醸してきたほどの大人の女性らしさである*2。

・「NO JAPAN」で水面下に潜った「カワイイ」
 こうした日本的な「カワイイ」が韓国で広く認知されたきっかけは、おそらく、2018年に日韓共同企画で放映されたオーディション番組
「PRODUCE48」だ。日韓の女子アイドルたちが出演し、
日本人3人を含む選び抜かれたメンバー12人により「IZ*ONE」が結成されて両国で人気となった。
日本人として企画に関わったのがプロデューサーの秋元康で、「AKB48」をはじめ自らがプロデュースするグループのメンバーを送り込んだ。

 放送当初は日本のアイドルが韓国のアイドルと比べて歌とダンスのレベルが低いといった記事も出た*3。
しかし、そうした歌やダンスのレベルうんぬんよりも、韓国の若い女性たちは、いまでもこの番組の動画を見ると、
日本のアイドルたちの「カワイイ」に熱狂する。

 私も授業の一環で学生たちにこの番組の動画を見せると、
「めっちゃかわいい(韓国語の『かわいい』=귀엽다/クィヨッタ)」と大喜びだ。学生たちによれば、
「カワイイ」日本人アイドルの姿は、彼女たちのメイクにも影響を与えているという。
ー後略ー

全文はソースから
JBpress 2023.10.15(日)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/77435