自民党派閥の政治資金パーティー疑惑で、岸田文雄首相が排除の論理≠検討している。
「裏金」疑惑が報じられた最大派閥・安倍派(清和政策研究会)所属の閣僚・副大臣・政務官の「政務三役」を
全員交代させる方向なのだ。内閣支持率が「危険水域」の30%以下に下落するなか、安倍派一掃で窮地を脱する狙いという。
ただ、別の派閥でも政治資金収支報告書への不記載・過少記載は指摘されている。安倍晋三元首相の暗殺後、
岸田首相は「旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との決別」をアピールしたが、
最近になって自身が友好団体トップと面会していたことが発覚した。
東京地検特捜部は、13日の国会閉会後にも議員らの一斉聴取に乗り出す方針。
岸田政権の延命策に、永田町では危機感・絶望感が広がっている。

「決して逃げるということではない。党と一丸となり取り組む」「先頭に立って信頼回復に向けて努力したい」

岸田首相は、一連の派閥パーティー疑惑の報道を受け、自身が会長を務める岸田派からの離脱を表明した際(7日)、こう語った。

政権維持を模索してか、岸田首相は9日、麻生太郎副総裁と首相公邸で約2時間会談した。
10日にも、茂木敏充幹事長、森山裕総務会長、萩生田光一政調会長らと個別会談し、対応策を協議したという。

焦点は安倍派の処遇だ。

最大派閥の安倍派は、閣僚・副大臣・政務官の「政務三役」や、党幹部に多数の人材を輩出している。
「裏金」疑惑では、安倍派幹部が軒並み「裏金」のキックバック(還流)を受け、
政治資金収支報告書に不記載・過少記載だったと指摘されている。

岸田首相は臨時国会閉会後の早期の閣僚・党役員人事へ、調整を本格化しているという。
疑惑の裏付けを待たずに、「政務三役」から安倍派議員を全員交代させるというドラスチックな方向で検討に入った。

閣僚では、裏金を受け取った疑いが浮上した松野博一官房長官や西村康稔経産相に加え、鈴木淳司総務相、
宮下一郎農水相が対象になる。党幹部では、現事務総長の高木毅国対委員長らを交代させる。

ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「国民からすれば、疑惑は『派閥の宿痾(しゅくあ)』にとどまらず、自民党政治、
岸田政権への極度の不信につながっている。場当たり的な『内閣改造』では収まりがつかないほど深刻な状況だ」と語る。

ただ、特捜部の捜査の先行きは不透明だ。

安倍派以外の派閥でも、政治資金収支報告書への不記載・過少記載は告発されている。特捜部は「裏金」だけでなく、
その使途についても狙いを定めているとされる。

政治評論家の有馬晴海氏は「特捜部がどこまで捜査の手を広げるか。誰が対象になるのか。現時点で全容は分からない。
焦って人事交代をしても、新たに疑惑が浮上するたび人事が繰り返され、収拾がつかなくなる。
岸田首相は1日も長く、総理を続けたい意向が強い。今の岸田政権は『泥船』にも映る。
他の派閥の協力が得づらく、自ら率いた岸田派から人材を補塡(ほてん)≠ケざるを得ない状況に直面するかもしれない」
と分析する。

岸田首相の姿勢にも、批判的な声が上がっている。

安倍氏の暗殺を受けて浮上した旧統一教会の問題では、岸田首相は「決別」を強調して、
関係が発覚した「政務三役」などを退任させてきた。

ところが、朝日新聞が今月4日、岸田首相についても「自民党政調会長だった2019年
、元米下院議長と面会した際、旧統一教会の友好団体のトップが同席していた」と報じたのだ。

岸田首相は「同席者は承知していない」と語っているが、それで国民は納得するのか。

・排除の論理¢t功するか
今回の裏金疑惑をめぐっても、問題が深刻化すると、岸田派からの離脱≠表明した。
岸田政権発足後、かたくなに派閥会長を続けてきただけに、唐突な方針転換が批判を集めた。
ー後略ー

全文はソースから
2023.12/11 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20231211-G3EJYITXF5I6LA76KYI4UDF2EQ/