日本学術会議の組織見直しをめぐり、内閣府の有識者懇談会(座長・岸輝雄東大名誉教授)は21日、
現行の「国の特別機関」から法人化することが望ましいと提言する報告書をまとめた。
だが、識者は「資金面と組織形態に課題が残る」と指摘する。

年間約10億円の国費が投入されている学術会議だが、国益に資する組織なのか疑問視されてきた。
「戦争を目的とする科学の研究は絶対に行わない」とする声明を長年継承し、
軍事と民生の「デュアルユース(両用)」技術の研究や開発の妨げになっていると指摘された。
事実上、研究を容認する見解をまとめたのは組織改革論が高まった昨年7月になってからだ。

福島第1原発の処理水を中国が「核汚染水」としたプロバガンダにも科学的発信で対抗できたとは言い難い。

報告書は「独立性を徹底的に担保することが重要」とする一方、政府に必要な財政的な支援を継続して行うよう要請した。
財政基盤を多様化する必要も示されたが、資金面の独立にはほど遠い。

菅義偉前首相が2020年に会員候補6人の任命を拒否したことを受けて、選考過程の不透明さも問題になった。
報告書は「政府が選考過程に一切関わらないことが妥当」としつつ、外部の目を入れ透明性を確保するよう求めた。

経済安全保障アナリストの平井宏治氏は「分野ごとに独立した組織にし、投入資金にメリハリをつけることが重要だ。
留学生による軍民両用技術の流出懸念もあり、セキュリティー・クリアランス(適格性審査)の導入も考えなければ不十分だ」と語った。

2023.12/22 11:32
https://www.zakzak.co.jp/article/20231222-QFVODUEXB5OW3IOUEGK2BNSEPI/