「んっ!木村!できちゃう!!」
「アイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!」

「!」
「どう?木村!」
「…駄目だ。今回も"もんじゃ"だ」
「………そうか」


幾度とない買出しにより、何度も鶏肉を焼いた酒井。
しかし、オーブンを労らない過剰な使用回数によってオーブンは暴走を繰り返した。
木村の25分設定が酒井の逆鱗に激突した衝撃で焦げ焦げになった鶏肉の臓器や筋肉や骨が、
血液とリンパ液に包まれて壊れかけのオーブンから流れ出てきた。
グチャグチャの鶏肉が無造作に混在するそれは、"人"というよりは、まるで"もんじゃ"であった。

14度目の流産を終えた酒井は、おもむろに"もんじゃ"をかき集め、
両手で掬い、傍にあった靴下に入れていく。
そして、熱した鉄板の上で靴下を傾けた。
"靴下もんじゃ"の香ばしい匂いが立ち込める。

「メリークリスマス、木村」

追悼と"いただきます"を兼ねた合掌の後、"失敗作"に箸を伸ばす酒井。
聖夜を失った酒井の痛ましい姿に、木村は射精が収まらなかったという。