音溝自体は20Hz以下まで刻むことも「可能」(数Hzまで刻んだテストレコードもあった)。
ただし50Hz以下は音溝の振幅が-6dB/oct.で増加するので、低域を伸ばすと音溝振幅が増大し録音可能時間が短くなったり、その分カッティングレベルを下げるとS/Nが劣化するので、低域をカットして刻まれることが多い。
録音時間の長い盤ではそうなっていることがほとんど。
これは「可能」かどうかとは別のことである。
また再生時にはカートリッジ振動系のコンプライアンスとトーンアーム等価質量の低域共振により数Hz〜十数Hzに10dB程度の大きなピークができ、それより低い周波数は減衰する(先述の数Hzが刻まれたテストレコードはこの共振を測定するためのもの)。
この低域共振の影響で可聴帯域の20Hzなどのレスポンスもやや上昇することが多い。
このこともあり、フォノイコライザはサブソニックフィルタとして20Hz程度から下をカットしているものもあるが、ON/OFFできるものも多い。