Hiが登場したのが1990年で、同時期のPSはPS-IIsの3代目。
カタログのスペックシートで見る限りは一応、別物のようですね。
磁性体名も両者ベリドックスですが、Hiは"Hi-TypeII"、PS-IIsは"PS-TypeII"。

大まかに言うと、MOL、SOLともにPSが+0.5dB上回るが、逆にバイアスノイズはHiが-1.0dB低い。
感度はHiが315Hzフラット、10/16kHzが+0.5dB、PSは315Hz/10kHzフラットで16kHzが+0.5dB。

ただ、同世代のHi/PS-IIs(3rd)/PS-IIx(2nd)/GT-IIx(2nd)のベリドックスは、
全て磁気特性は同スペック。(抗磁力:680Oe/最大残留磁束密度:1950G/角形比:0.92)
なので、ここからは推測になりますが、
基本が同じ磁性体を用途に応じてチューニングしているのかもしれません。
クルマのエンジンで元が同じでもスポーツカーとミニバンとセダンでは特性が違うように。

数値から考えると、Hiは出力控えめでノイズ低め、高域感度を上げ気味にしていますので、
ラジカセやヘッドホンステレオで聴くのに快適なチューニングなのかも。
あと、その特性上、テープtoテープでダビングした時に高域ダウンとノイズ増加をある程度抑えられそう。
かたやPS-IIsは、ノイズを少々犠牲にしても全体の出力を上げる方向なので、
こちらはラジカセからコンポまで機器を問わないバランス重視のオールラウンダー型のようですね。

尚、上位機のPS-IIxとGT-IIxは出力特性はほぼ同じで、
MOLはPS-IIsと同等でSOLは-0.5dB、バイアスノイズは-1dBダウン(=Hiと同等)。
ただ、感度についてはPS-IIxが全域フラットなのに対しGT-IIxは高域がHi同様に+0.5dBなので、
これは高級機向けに特性をフラットにしたPS-IIxと、
カーオーディオ向けに車内で減衰しがちな高域を補ったGT-IIxという方向性の違いかと。
個人的にはPS-xとGT-xの価格差は実質、素材の耐熱仕様の差だと思われ、
同じクルマのFF仕様と4WD仕様の違い程度のものではないかと。

あ、あとHiは廉価版とは言えメカニズムは旧PSのそれを流用しているので、
素材が耐熱仕様でないことを除けば、ハーフ等の精度や走行性はPSのそれと遜色はありません。