これは全くの個人的趣向だが
コンセプト・アルバムの世界観を、ステレオのサウンドステージに求めずに
モノラルで横一線に並べて聴き通すというのが、私の流儀である。
賛否の激しいことは承知だが、演奏者のパフォーマンスを洗い出して
音楽語法のみに耳を傾けようとした場合、実際こうなるのだ。

これはスピーカーがアメリカンな直接音主体というのもあるが
楽音とガチで向き合うのに、さらにモノラルで研ぎ澄ます感じでもある。
あとステレオは集団的な行為のなかで、個々の音が存在するが
モノラルの音は一人称としての音からスタートし
全体がひとつのパーソナリティとして存在する。
つまり、集団と個人の間に存在する壁がなく
しかも各々の個性にブレが生じないのだ。

私自身の認識が幼稚で原始的なのだと思うが
モノラルのように一人の人が語っているという認識がなければ
自分以外の集団がバラバラに意見を交わしているように感じ
第三者の視点で眺めているような気分になって
なかなか音楽の内容にまで入り込めないまま時間が過ぎる。
モノラルだと不思議に、パーソンtoパーソンで語ってると感じるのだ。