さてコンセプト・アルバムに話を戻すと
バンドが音楽で語るメッセージを受け取る側の態度として
オーディオのサウンドデザインがある。
それはバンド毎に違い、楽曲ごとに工夫が凝らされ
バーチャルなステレオ空間を再現しようと思ってる。

しかし、私自身には、個々の楽曲のサウンドステージの再現は
気の遠くなるような作業であり、個別に対応するのは煩わしい。
そこに時間を割くくらいなら、パフォーマンスから音楽語法を読み取ろうと
随分と乱暴な手段に出ているのだ。ステレオ録音のモノラル・ミックスである。

ミュージシャンの個々のパフォーマンスを抽出する方法は
実はモノラル期のモダンジャズで顕著に表れており
パーソネルという呼び方から察するように
メンバーの組合せで音楽の内容がガラッと変わる。
これがコンセプト・アルバムの原初的な認識方法のひとつである。