しかし、歌謡曲の再生を考えたとき
歌手を中心にシフトする音響効果が通り一遍ではなく
ときには大掛かりなフェイクを使ってでも立派に聴かせようとする。
つまり、スタジオでは正直者はバカをみるようなところがある。

もうひとつ、痩せ我慢も限界までくると清貧という美しい言葉に代り
私などはテレビの楕円スピーカーやラジカセの音が原音だと思ってる。
つまり、低レベルの音響機器でも、音楽の本質を見失わない
サバイバルにも通じる生命力こそが歌謡曲の魅力でもある。

これらの、フェイクな清貧は、日本国民の中流意識そのもので
オーディオでおいて中流こそ美徳たらしめる、節度ある価値観をもたらす。
本音は凄い装置で聴きたくても、「自分のはまだまだ」と上を向いて過ごそう。