もうひとつは、クラシックの演奏が基本的に同じ楽譜からの再現になるので
ジャズやロックと違い、その時代にしか成し得ないオリジナリティが希薄になりやすい。
たとえば1970年代には、ビバップそのものが新録では出なくなった一方で
JBLのモニタースピーカーで、1950年代のモノラル録音のリアリティが再び注目された。
そうしたトリビュートは、1970年代のクラシックではほとんど起こらなかった。

現在ではリマスターされたSACDのほうが新譜よりも高いことが起こっているが
国際化して独特のサウンドを失った、かつてのオーケストラの姿にようやく気付いたところだ。
それが作品を代表する名演なのか、オーケストラの機能性を再考するアーカイブなのか
評価の行方は難しいところだが、できればその再生方法までアーカイブしてくれると有り難い。