>>912
そういうカートリッジの発電方式の問題ではなく、音溝とそれを針でトレースする際の問題。
まず大まかな話として、周波数に対して音溝の速度を一定とすると低域で振幅が大きくなりすぎ、記録時間が短くなったり、カッティングやトレースが難しくなったり、
逆に高域では振幅が小さくなり S/N が悪くなる。
そこで周波数に対して音溝の振幅をほぼ一定とする。
しかし完全に定振幅とすると今度は高域で振幅が大きくなりすぎ、物理的にカッティングやトレースが不可能な音溝になりやすい。
そこで RIAA 準拠のカッティングではほぼ定振幅だが、それよりやや低域をブーストし高域を落としてカッティングしている。
(時定数 3180 μs (50 Hz), 318 μs (500 Hz), 75 μs (2122 Hz)。
50 - 500 Hz に対して 2122 Hz 以上は -12.5 dB。
また 50 Hz 以下は -6 dB/oct. で低域が上がるが、音楽にその帯域の成分が少ないことと、再生時にその分減衰させることでランブルの減衰を図っている。)
これはよく言われる定速度に対して高域が強調されてカッティングされているというのとは異なるので戸惑う人がいるかも知れない。
20 Hz - 20 kHz の範囲で見ると定振幅に対しては 20.5 dB、定速度に対しては 39.5 dB の補正がかけられることになり、
どちらかといえば定振幅に近いことがわかる。
これはすなわち MM 型や MC 型などの速度形のカートリッジで再生すれば 39.5 dB の補正が必要だが、
コンデンサ型や光電型などの振幅形のカートリッジで再生すれば 20.5 dB の補正で済むことを示している。