人は、世の中で能力を競ひ合ふことに慣れているので、それがどのようなものであれ、自身が備へている能力は相対的に高ければ高いほど良いのだと思ひ込みがちである。
しかし、この思ひ込みは、明白に誤っている。備へている能力が良いものとして大切になるのは、それがうまく発揮される限りにおいてであって、それがうまく発揮されないなら、自身が備えている能力は、苦痛をもたらし、悪しきものとなる。