■自分たちは「内部」、ほかは「外部」

「幼稚舎出身の生徒同士が陰で、自分たちのことを内部、僕らのことを外部と呼んでいるのを知り愕然としました」と話すのは中等部から慶應に入ったOB。
大学受験を経て慶應に入った学生を外部生、高校からの持ち上がり組を内部生と呼ぶのが一般的だが、幼稚舎出身者は自分たちと“それ以外”という分け方をしているのだ。そこには彼らだけの世界が広がっている。

「自分たちだけでグループをつくって、その周りにはバリアを張って、僕らをまるで拒絶しているような感じなんです。
幼稚舎出身同士で誕生会などもやっているようでしたが、僕らが呼んでもらうことはなかった」

中等部での幼稚舎出身の割合は4分の1〜3分の1程度。年度によって、その割合は変わるが、いずれにしても、人数が多いのは中学受験に合格して入ってきた生徒。
にもかかわらず、疎外感を持つのはマジョリティの側なのだ。幼稚舎出身の連合三田会役員は次のように話す。なお、連合三田会は慶應大の各同窓会を取りまとめる中央組織だ。

「幼稚舎でまとまっているというより、同じクラスだった仲間と仲良くしているといったほうが正しいと思います。
6年間ずっと同じクラスでやってきたので、外部の人がいきなり入ってきて、彼らとも親しくしろと言われても、すぐには難しい面がある。
でも、それも最初のうちだけで、サークルや学校行事などで一緒になるうち、外部の人とも親密になっていくんです」