■アメリカなどは培養肉を認可

アメリカ食品医薬品局(FDA)は昨年11月、「慎重な評価」の結果、細胞から培養した鶏肉を食用として認可した。2020年にはシンガポールで、チキンナゲットへの培養肉の使用が認められている。

欧州連合(EU)加盟国では今のところ、こうした認可は降りていない。しかし、欧州食品安全機関(EFSA)は培養肉を含む「細胞農業」について、「健康的で環境に優しい食品体系のための、有望で革新的なソリューションと考えることができる」と明言している。

EU圏内ではモノやサービスの行き来が自由なため、EU当局が合成肉を認可した場合、イタリアがその販売に反対することはできないのではないかという指摘も出ている。

イタリアの動物保護団体「OIPA」は、培養肉は動物の細胞から作られるものの、動物福祉や環境の持続可能性、食の安全性を脅かさない「倫理的な代替品」だとしている。

一方で、酪農の業界団体「アッソラッテ」のパオロ・ザネッティ会長は、政府の決定を支持した。

伊経済紙のインタビューでザネッティ氏は、牛乳生産者はパラドックス(逆説)に陥っていると説明。生産者らは製品をより環境にやさしいものにするために投資するよう求められていた一方で、「良識のない投資家」たちは、「環境保護を口実に」自然とはかけ離れた製品を宣伝していたと指摘した。

(英語記事 Italy to ban lab-grown meat to protect heritage)

(c) BBC News