米国では9000億ドル(約92兆7000億円)の追加コロナ対策法案が成立し、財政面からコロナの感染拡大に対応しようとしているのに、
日本ではポストコロナ前提の予算費目が目立ち、コロナ拡大時に国民生活を直接サポートするような費目への予算計上が小さい。

18日から始まる通常国会では、まず3次補正から審議が始まる。
政府はメンツをかなぐり捨てて大規模な追加の消費喚起策が実現できるような予算案に組み替えをすべきではないか。

昨年も10万円の特別定額給付金の交付のため、20年度補正予算案の組み替えを決めた経緯がある。

かつては予算案の組み替えが「内閣総辞職に直結する」として拒否する「慣行」があったが、昨年の前例が既に存在する。
菅義偉首相は、1カ月で緊急事態宣言を終わらせる決意を13日の会見で示したが、コロナ感染者の拡大傾向が続けば、
全国に発令地域を広げる決断をせざるを得なくなる事態に直面しかねない。

菅首相は果断な決断を下し、国民生活の底割れを防ぐ「セーフティーネット」の構築を目指した政策を打ち出してほしい。

【プロフィル】田巻一彦(たまき・かずひこ) 
ロイターシニアエディター。慶大卒。毎日新聞経済部を経て、ロイター副編集長、ニュースエディターなどを歴任。東京都出身。
https://www.sankeibiz.jp/business/news/210115/bsm2101150553002-n1.htm