■薄給の背景の一つ?  「製作委員会」方式

 アニメ業界に詳しい広告会社日宣の中山隆央氏は「時給換算で100円を切り、生活のためにアルバイトを掛け持つ人も多い。
夢を餌にしたやりがい搾取だ」と批判する。日本のアニメーターの給与が安いのには、構造的な問題がある。

例えば、制作時に出版社や放送局など複数から資金を募る「製作委員会」方式。
今や日本のアニメ産業の約半分が海外の売り上げだが、こういった海外分やグッズ販売などのライセンス利益は、
広告代理店やテレビ局が出資する製作委員会のものになるケースが多い。
作品がヒットしても、製作委員会に出資していない制作会社には還元されない仕組みとなっている。

 もちろん作品が多数にのぼるなかでヒットするのは一握りであり、製作委員会が負うリスクは大きいため分散できるメリットもある。
それでも「製作委員会方式だと予算ありきの作品作りしかできない。キャラクターグッズや音楽など各社の立場が違うため、合意形成に時間もかかる」
(日宣の中山氏)。

 その一方で、アメリカや中国の作品を作る場合は、制作会社の交渉相手は1社だけだ。

 クオリティー(質)やプロダクト(作品)ありきの進め方をするため予算も潤沢。
実際にカラード社は、アメリカや中国から、日本アニメの2倍の料金で作画を請け負っている。