0336東京新聞 2/2
2024/01/06(土) 09:45:16.89ID:TegFlPwWクールな美しさを身にまとい、女方(おんながた)として着々と力を付けて忙しく舞台に立ち続けていた日常は、コロナ禍で一変。
公演が次々と中止になり「歌舞伎がなくなるんじゃないか」という思いもよぎった。
それだけに20年8月、5カ月の休演を経て歌舞伎座で静御前を演じた時は、花道で曲が聞こえないほどの拍手に迎えられ「やっぱり待っていてくれたんだ」と胸に迫った。
2月に歌舞伎座の「猿若祭二月大歌舞伎」で、3月に初代勘三郎の出生地ともいわれる名古屋市中村区での「名古屋平成中村座」で父の追善興行を予定。
歌舞伎座では「籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)」の兵庫屋八ツ橋を初役でつとめる。「ずっとやりたいと思っていた。歌舞伎の女方なら、やりたくない人はいないような役です」
今年は一門での春秋の巡業のほか、10月に鹿児島県での「三島村歌舞伎」も予定。僧俊寛の流刑地・硫黄島で「平家女護島(にょごのしま) 俊寛」を13年ぶりに上演する。前回は父がいた。
今は「中村屋」という大きな看板を兄と2人で背負う。父は生前「俺は1人だったけど、おまえたちは2人だから2倍できる」と言った。
「中村勘三郎のような人間になりたい、という目指す一点が同じだから、兄弟仲が悪くなるはずがない。協力し合えば、どんなことでもできます」 (林朋実)
<なかむら・しちのすけ> 1983年5月18日生まれ。東京都出身。86年9月に初お目見得(めみえ)、87年1月歌舞伎座「門出二人桃太郎」の弟の桃太郎で二代目中村七之助を名乗り初舞台。
近年は「助六」の揚巻や「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」の政岡といった女方の大役を次々とつとめている。映画やドラマでも活躍し、昨年のNHK大河ドラマ「どうする家康」では石田三成を演じた。
◆こんな一面も
◇リフレッシュ方法 よく寝てよく食べることです。ラーメンが大好き。巡業などで地方に行くと、時間があれば必ずラーメンを食べに行きます。
◇休日の過ごし方 ジャンルを問わず、お芝居を見に行きます。落語や講談を聴きに行くことも。完全な趣味で、勉強のためではないです。だから落語は好きだけど全然詳しくはないんですよ。