お花みたいって言ってるのは小柳だよ


星組が真夏の宝塚大劇場を熱くさせている。本公演をもって退団するトップコンビ、紅(くれない)ゆずる&綺咲愛里(きさき・あいり)がカラッと明るくクライマックスを目指す。
 「GOD OF STARS―食聖―」は料理対決が題材の喜劇。作・演出の小柳奈穂子氏は「なるべくしてなった感じ」と、笑いのセンスにあふれる紅の持ち味を最大限に引き出した。
 紅の唯一の新人公演主演作「スカーレット・ピンパーネル」(08年)も演出した小柳氏は、長い付き合いのトップの魅力を「優等生ではないけど、そこまで頑張るのなら温かく見守るか!と思わせるところ」と説明。天才料理人ホン(紅)のセリフ「心を温める炎」こそ紅の真骨頂なのだろう。
 ショー「エクレール ブリアン」の演出家・酒井澄夫氏は、紅によく「アンタは立ってるだけでええねん」と伝えていた。「鳳蘭もそうでしたが、プラスアルファの部分は、なんぼ努力しても出せるもんじゃない」と星組の伝説的トップとも重ね合わせていた。
 両作とも、次期トップコンビの礼真琴(れい・まこと)&舞空瞳(まいそら・ひとみ)の新鮮な見せ場が用意されている。酒井氏は、いくら踊っても息が切れない礼を「今まで何百年と生徒を見てきたが(笑い)…完璧過ぎる」と感嘆しつつ「ある意味、100点過ぎる。礼にも言いました」と禅問答のような“課題”を与えたとか。舞空については小柳氏が「若い頃の花總(はなふさ)まりさんみたい。完璧な2人が組んで、どんなことが起きるのか」と目を丸くしていた。東京宝塚劇場では9月6日〜10月13日に上演。