ビル2棟に放火した疑いが強まったとして、
福岡県警特別捜査本部は25日にも、特定危険指定暴力団「工藤会」(北九州市)ナンバー3で理事長の菊地敬吾被告(43)=組織犯罪処罰法違反などで起訴=ら11人を
現住建造物等放火容疑などで逮捕する方針を固めた。捜査関係者への取材で分かった。
同市では標章を掲示した関係者らを狙った事件が約10件起き、組員が逮捕されたことはあるが、上層部への強制捜査は初めて。

捜査関係者によると、逮捕されるのは菊地被告のほか、工藤会系組幹部と組員、親交者ら。
11人は共謀して
(1)12年8月14日午前4時半ごろ、同市小倉北区堺町1の鉄筋5階建ての「林ビル」に放火し、エレベーター1基を焼損させ
(2)約20分後、約120メートル東の鉄筋6階建て「第一ウインザービル」にも放火してエレベーター1基を燃やした??疑いが持たれている。

林ビルではビル所有者の60代男性ら4人が煙を吸って搬送され、第一ウインザービルではけが人はなかった。捜査本部は、菊地被告が配下の組員らに放火を指示した疑いがあるとみて追及する。
2棟は、標章を掲示した飲食店の入る雑居ビル。林ビルで2カ所、第一ウインザービルで1カ所、店の入り口に赤い塗料が塗りつけられていた。
2棟からそれぞれ油のようなものがまかれた跡が見つかり、出火前後、周辺でバイクに乗った不審な2人組が目撃されていた。
林ビルの所有者は暴力団排除活動に参加する地元住民組織のメンバーで、捜査本部は暴排活動を萎縮させるのが目的だったとみて捜査していた。
標章制度は12年8月に始まった。「暴力団員立入禁止」と書かれた標章を張った店に組員が入ると福岡県公安委員会が退去するよう命令を出し、
命令に従わなければ逮捕が可能になった。制度開始直後から掲示した店の入る他の雑居ビルに対する不審火や、経営者らを狙う切りつけ事件が相次ぎ、12年11月までに約10件に上った。

このうち、12年11月3日に同市八幡西区の駐車場で、標章を掲げる飲食店従業員が使う乗用車など車2台に放火したとして、
今年1月、工藤会系組員ら2人が逮捕されたが、不起訴になった。他の事件も含め、すべて未解決になっている。
菊地被告はトップで総裁の野村