そして、それらの服は短いスパンで買い換えられていきます。
値段が安く、手に入れやすくなったため、どうしても一つ一つへの思い入れは薄くなるでしょう。
そうして消費的なファッションになっていると考えられます」(林氏)

ファストファッションによって安価なアイテムが一般になれば、若者はファッション全体に「安さ」や「気軽に買えること」を求めてくる。
それはスニーカーやリュックといった、背伸びしない手頃なスタイルやアイテムが流行っていることにつながっているのかもしれない。

● 現代ではネットでも購入可能 ブランドへの憧れがなくなった? 

続いて考えたいのは「(2)高級ブランドの販路拡大」だ。今の若者は「ブランドものに対する憧れが弱くなっている」と林氏は述べたが、
それはファストファッションが台頭し、安価なおしゃれが実現しやすくなったことだけが理由ではない。
「ブランド自身の変化も影響している」という。

「ここ20年ほどの間に、高級ブランドは世界的に販路を拡大しました。
つまり、今ならほとんどのブランドのアイテムを世界中のどこでも買えます。昔は東京の○○でしか買えない、
フランスの○○でしか買えないという希少性が若者の憧れを生みましたが、現代ではネットでも購入可能
今の若者がブランドへの憧れを持ちにくいのは、この便利さがあるからです」(林氏)

実際、そういった「時代の違い」は、一般人の声からもわかる。
ある50代の人は、若い頃のブランドものに対する思いをこう語ってくれた。

「アメリカに仕事で出張した時、彼女に当時貴重だったシャネルのバッグを買って帰国しました。日本では売っていなかったものです。
後々その女性と結婚しましたが、彼女はまだそのバッグを大切に持っていますよ」(59歳男性)

「九州に住んでいた自分にとって、ブランドものは東京でしか買えない本当に貴重なアイテム。
年に1度東京へ行くときはワクワクしましたし、その分ブランドものは"おしゃれ"で憧れのものという認識でした」(57歳女性)
● ファッションの “民主化”は 若者に何をもたらした? 
一方、20代にブランドものへの感覚を聞くと、当然ながら価値観は異なってくる。rrrrrrr