なぜなら、アメリカでは、緊急事態以外の場合は、患者の診察を拒否できるからだ。
「無保険者の診察は赤字を増やすだけ、診察はしたくない」、というのが私立病院経営者の本音だ。
A無保険者が頼れるのは、公立病院のER(緊急救命室)である。しかし、ERの実態はある意味で悲惨だ。
「手術を担当するのは研修医であることが多く、看護士も手薄。重症でも、一日中待たされたあげく、
亡くなるケースもある。それだけ、多くの無保険者が殺到している」、これは、ニューヨーク市内の
公立病院のERで勤務したことのある医師の証言である。
B無事、治療を受けて病気や怪我が治っても、治療費の支払いが大変である。まず、治療費は、病院や
医者の“言い値”で請求されることが多い。じつは、保険会社の役割の一つに、病院や医師と交渉して
できるだけ医療費を安くする、ということがある。ところが、無保険者には、そうした“後ろ盾”が
ないために、病院や医師のいいなりにならざるをえない。
(日本では、治療費は、中央社会保険医療協議会が「診療報酬体系」として決めている。これが、
「公定価格」としてい