▼10時間に及ぶクロッキー大会の後、お酒を飲みながら
「僕の今は何のための時間なんだろうって」と言う律(佐藤健)に対して。

「私はここに来るまで回り道をしました。漫画家デビューは遅いです。
美大に入り、絵を描き、周りの上手さにおののき、
ドロップアウトして中退し、セールスマンになりました。
大阪で百科事典のセールスをしていました。
でも、ある日、炎天下の昼、百科事典を売って回りながら、
僕は決心をしました。30前で覚悟を決めたんです。漫画家を目指そうと。
仕事を辞め、バイトをしながら投稿を始めました。退路を断ったわけです。
一見、余計なことをする時間も、回り道もあっていいと思います。
いろんなことがあって、すべてが今につながっていく」
(第45話、5月23日)

▼菱本(井川遥)に病気の再発を疑われて。

「黙っていて、すまなかった。だが、菱本君。私にはプランがある。
私の名作たちは、この世に残るだろう。
ただ、それだけでは足りない。私は、私自身を残したい。
だから、弟子を取ろうと思った。
漫画というものを真に理解するのは、漫画を描かんとする者だ。
妻も持たず、家庭も持たず、仕事一本でやってきたが、
私は私を作品以外で残したいんだ。
私亡き後も、彼らのテクニックとなって残るとすれば、
こんなにうれしいことはない。
とにかく、あまりもう時間はない。協力してくれ」
(第47話、5月25日)