戦後,1948年の12月に栃木県における戦災孤児の売買事件が新聞紙上で明るみに出たことを発端
として,潜在化していた同様の事件が問題化されるようになり,1952年には,内閣の中央青少年問
題協議会が中心となって「児童をして,その福祉に反するような労務,または不当な人身の拘束を
伴う労務を提供させ,その対価として金銭・財物・その他を給付することを内容とする契約・また
はこれをあっせんする行為」として「いわゆる人身売買」を定義した(労働省婦人少年局 1953:10)。
なお,警察庁では,客体を児童に限定せず,「又は18歳以上の婦女をしてその意に反して売春を業と
させ」という一節を協議会の定義に加えている(牧 1971:221)(1)。

 「人身売買」の定義再考にむけて――「いわゆる人身売買」と労働搾取問題 より
  http://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/images/oz/contents/627-03.pdf