>>841

「これからはテレビアニメの時代だ。日本全国のお茶の間にテレ
ビアニメを届けるのだ。それこそがこれからの日本文化の進むべ
き道だ!」
情熱に燃える手塚さんは、東映なら貧血で死にそうなほどの出血
大サービスの予算(後に出てくる宮崎氏の発言によると、1話あ
たり50万円だという)でテレビアニメを受けてしまった。
彼の回りには彼の情熱に感動したスタッフが次々と集まって、手
塚治虫のアニメ製作会社・虫プロダクションは設立された。虫プ
ロでは情熱のあるスタッフが日夜がんばったが、いかんせん、い
つも貧乏でスタッフ数はぎりぎり、スケジュールはオセオセだっ
た。そのため、スタッフはスタジオに寝袋で泊まり込み、という
のが当たり前になった。
「手塚さんがもうちょっと我慢すれば、テレビアニメ制作費の相
場も、ずっとましなものになったのに」
というのは、アニメ業界人なら誰もが言う台詞だ。彼が亡くなっ
たとき、マンガ専門誌の追悼記事にまで書かれてしまうほどだ。

岡田斗司夫「手塚治虫vs宮崎駿」抜粋