>>653つづき

また、昨年放送の“100作目の朝ドラ”「なつぞら」の主演に広瀬すずさんを“キャスティング”した磯智明チーフプロデューサー(CP)も当時、
「(時代的に)実績のない一人の若手に全てを背負わせていいのかという思いはある」と、
朝ドラ主演をオーディションによる「抜てき枠」として存続させることの難しさを口にしていた。

では、「若手女優の登竜門」と言われてきた朝ドラは「発掘」そのものをやめてしまったのだろうか?
その答えとなりそうなのが、今回新しく朝ドラの主演に起用された清原さんの存在だ。
前述の通り、女優デビューも朝ドラ(「あさが来た」)なら、女優としての評価を不動のものにしたのも朝ドラ(「なつぞら」)。
そのほか、初主演ドラマ「透明なゆりかご」(2018年)、初主演時代劇「螢草 菜々の剣」(2019年)も含め、
まさに朝ドラとNHKによって若くして発掘され、育てられてきた女優と言える。
なお、清原さんが「あさが来た」に出演したのが13歳のとき。
ここ最近の朝ドラでは、当時の清原さんよりもさらに下の年齢の子役たちにスポットが当たることも珍しくなく、
それこそ昨年の「なつぞら」では、オーディションによって抜てきされ、
ヒロインのなつ(広瀬さん)の子供時代を演じた粟野咲莉ちゃんが注目を集めた。
また、今年3月まで放送されていた戸田恵梨香さん主演の朝ドラ「スカーレット」では、
主人公・喜美子(戸田さん)の夫・八郎役で俳優の松下洸平さんが大ブレーク。
同ドラマにおいて「最大の発見」となったことは記憶に新しい。朝ドラの「発掘力」を見せつけた形だ。

以上のように、朝ドラ主演の「抜てき枠」、または「若手女優の登竜門」としてのイメージは今後も薄れていくかもしれないが、
実力のある女優・俳優を主演にキャスティングし、軸をしっかりとすることで、朝ドラ主演以外の役どころから、
より一層、新たな才能が発掘される可能性も。その中には「未来の清原果耶」となりうる人材が含まれているのかもしれない。