同じジャンプ作品では、ボンズがアニメーション制作を手掛ける『僕のヒーローアカデミア』も、バトルシーンの演出が卓越している。「『僕のヒーローアカデミア』公式キャラクターブック Ultra Archive」に収録されている原作者・堀越耕平とキャラクターデザイン・総作画監督の馬越嘉彦の対談では、堀越が「アニメ化ではアクションに期待」と発言しており、原作者の意向を存分に反映した激しいアクションが畳みかける。

 こちらでは、「個性」と呼ばれる特殊能力を駆使した多彩なバトルシーンが見られ、第4期の主人公デク(緑谷出久)VSオーバーホール戦では、「分解・修復する」という個性を持つオーバーホールに対し、目にもとまらぬラッシュを繰り出す(最後の一撃のスロー演出が素晴らしい)。第2期の最大の見せ場といえる、デクの師匠オールマイトと宿敵オール・フォー・ワンの死闘では、オールマイトの吐いた血反吐がカメラにかかるという実写的な演出や、ギュン!と音が出るようなキャラクターの高速の寄りのカット、腕が一瞬で巨大化する『ヒロアカ』らしいド派手な演出、オールマイトが最後の一撃を繰り出す際の、線が走る荒々しい描写などが観られる。

 ちなみに、『僕のヒーローアカデミア』は、劇場版にも相当力を入れており、作中のキーワード「プルスウルトラ(さらに向こうへ)」よろしく、第1作『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE 〜2人の英雄〜』では、原作で実現しなかった主人公・緑谷出久と師匠・オールマイトの共闘を実現させ、第2作『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』では、原作の最終決戦用に温めていたネタを提供(劇場公開時に来場者プレゼントとして配布された冊子「『僕のヒーローアカデミア』Vol.Rising」の中で、堀越は「最終回の代わりのアイデアはまだ浮かんでいません(笑)」と語っている)。>>1