ちなみに、『僕のヒーローアカデミア』は、劇場版にも相当力を入れており、作中のキーワード「プルスウルトラ(さらに向こうへ)」よろしく、第1作『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE 〜2人の英雄〜』では、原作で実現しなかった主人公・緑谷出久と師匠・オールマイトの共闘を実現させ、第2作『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』では、原作の最終決戦用に温めていたネタを提供(劇場公開時に来場者プレゼントとして配布された冊子「『僕のヒーローアカデミア』Vol.Rising」の中で、堀越は「最終回の代わりのアイデアはまだ浮かんでいません(笑)」と語っている)。

 また、『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』では、ストーリーのクオリティを上げるため、まだアニメ化されていない原作コミックスの時系列に合わせるという、異例の措置を敢行。この辺りの並々ならぬこだわりも、ぜひ注目いただきたいところだ。

 今後アニメ化が期待されるジャンプ作品としては、『チェンソーマン』と『地獄楽』(『少年ジャンプ+』掲載作品)あたりが、「動きで魅せる」スタイルにハマりそうだ。

 『チェンソーマン』は、悪魔を狩るデビルハンターたちのバトルアクションだが、主人公や各キャラクターの頭のネジが吹っ飛んだようなクレイジーな行動パターンや、残虐性と笑いが入り混じった奇想天外なバトルなど、とにかく異彩を放っている。この辺りの混沌具合にアニメ的なダイナミックな動きが足されたら、作家性が強い異端アクションとして、無二の地位を築けるのではないか。

 『地獄楽』においては、謎の生物が跋扈(ばっこ)する島に送り込まれた忍者や武士、盗賊といった罪人たちのハードなバトルが、全編にわたって展開する。世界観的にもテイスト的にも、劇画の影響を多大に受けているという絵柄的にも、どんどん動かすアニメーションで、大いに化けそうな予感がする。愛すべきキャラクターが続々と登場する(そして壮絶に散っていく)部分も、『鬼滅の刃』好きに刺さりそうだ。

 日本の漫画、アニメ、映画史を変えた『鬼滅の刃』。今後のさらなる映像化にも期待しつつ、他作品の動きにも、目を光らせていきたい。