https://friday.kodansha.co.jp/article/133327

キー局プロデューサーによれば、「すでに民放の主要局は『個人視聴率』を軸として、スポンサー向けにデータをカスタマイズして営業をかけている」という。

「なかでも最重要視されているのが、商品購買力を持つコア層――13歳〜49歳の視聴データ、『コア視聴率』です。フジの遠藤龍之介社長は年頭挨拶で『これからは“コア視聴率”に評価軸が変わる。管理職はいますぐ勉強しておくように!』と大号令を発しました。トップの檄(げき)に応えるように今年のフジはユーチューバーや声優など、若者受けする演者をキャスティングするようになりました」

業界で最も早く『コア視聴率』に着目したのが日本テレビだ。5〜6年前から若者を意識した番組作りに着手。「社内で使う視聴率データには3年前から『コア視聴率』が併記されるようになった」(日テレ社員)という徹底ぶりだ。

「『サンドウィッチマン』やフワちゃん、池田美優(みちょぱ)(21)ら、コア層に人気があってバズりやすいタレントに対する感度が高い。福田雄一監督作品でおなじみ、菅田将暉(すだまさき)(27)や賀来賢人(かくけんと)(31)、浜辺美波(20)をドラマの主役級に抜擢(ばってき)したり、他局に先駆けて『霜降り明星』、『四千頭身』ら“お笑い第七世代”の冠番組を作ったり、とにかく編成が腹を括(くく)っている」(前出・プロデューサー)

各局の取り組みの差は、数字にハッキリと表れていた。本誌は独自に『世帯視聴率』と『コア視聴率』(*データの都合上、「13歳〜59歳の男女」の数字とした)を入手。

注目時間帯の番組を比較したのが『世帯視聴率』『個人視聴率』『コア視聴率』の月間視聴率ランキングなのだが――『世帯視聴率』こそ、日テレとテレビ朝日、NHKの三つ巴(どもえ)の争いとなっているものの、『個人視聴率』になるとNHKの旗色が悪くなり、『コア視聴率』はほとんど日テレの一人勝ち。『ポツンと一軒家』など、テレ朝の主力番組は圏外となっている。

「テレ朝は『相棒』など、必ず『世帯視聴率』を稼げる刑事モノのシリーズを多数抱えているのが逆にアダとなった。放送作家や脚本家などスタッフもガチガチに固定されていたため、コアへの対応がキー局で最も遅れてしまったのです。『世帯視聴率』がいくら高くても、『コア視聴率』が低いとCM枠が売れない。たしかに高齢者は大きな視聴者層ですが、高齢者向けのCMは単価が安いのです……」(テレ朝社員)