私の知る限り、業界関係者やドラマフリークの中には、「『天国と地獄』は推せない」という人が少なくありません。実際にこの2週間あまりで会話を交わした人々から、「悪くはないけど引っかかるところがある」「何でここまで人気があるのかわからない」「TBSの日曜劇場はこれでいいのか?」という声を聞きました。彼らは世間の空気を読んで声を挙げていないだけで、違和感を抱いているのです。

■入れ替わりは子ども向けの物語だった


 「転校生」から、さらにさかのぼると、入れ替わりのドラマで思い出されるのは、1973年の「へんしん! ポンポコ玉」(TBS系)。同作は主に小・中学生向けの特撮ファンタジーでした。これらを踏まえると、入れ替わりのドラマはもともと子ども向けであったことがわかるでしょう。

 もともと入れ替わり、あるいはタイムスリップ、異星人が登場するようなファンタジー作は、ティーン向けのジュブナイル小説に多い設定であり、テレビでは特撮か、「少年ドラマシリーズ」(NHK)などで映像化されたジャンル。それだけに入れ替わりの物語は、長い歴史を持ち、大人向けの社会派ドラマの多い日曜劇場の作品としては幼い設定なのです。