『御手洗家、炎上する』

代々病院を経営する御手洗家は13年前、自宅兼診療所が全焼するという事件があった。
原因は火の不始末とされ、燃えさかる家の前で母が土下座する光景を、
御手洗家の長女・杏子はまざまざと見せつけられた。
後日、責任を深く感じた母は2人の娘を引き取り、離婚することで事態は収束した。
しかし、どうしても腑に落ちなかった杏子は、時を経て御手洗家に家政婦として潜入し、
火事に隠された真相を暴くことを決意する。


『私たちはどうかしている』

ある和菓子職人、大倉百合子は金沢の和菓子屋・光月庵で住み込みで働くこととなる。
娘の七桜は同い年で光月庵の跡継ぎ息子の椿に出会う。
2人はだんだん仲良くなっていき、互いに初恋の相手になる。

そんな幸せな生活を送っているある日、椿の父である光月庵の若旦那が何者かに殺害された。
椿の証言により、百合子は警察に逮捕され、七桜は光月庵を追い出されてしまう。
互いに初恋の相手であった2人はこの事件をきっかけに、互いに憎しみ合ったまま離れ離れとなってしまう。

それから15年後、大人になった七桜はある男性から、七桜に宛てられた
「私は何もやってない」という母の手紙を受け取る。

数日後、2人は七桜の知人の結婚式の引き出物になる和菓子作り対決という形で再会した。
目の前に現れた花岡七桜がかつて父の経営していた和菓子店に出入りしていた
幼なじみとは気づいていない椿は、家族によって決められた結婚を破談にするために
会ったその日に七桜にプロポーズする。
七桜は母の無実を証明すべく、椿の申し出を受け入れる。
しかしそこには結婚に反対する椿の母の嫌がらせや一筋縄ではいかない家庭事情が2人に襲いかかってくる。