来世の案内の研修は、人生をやり直す時にいつもカウンターにいたおっさんから受けている。
中肉中背、ヘルメットみたいおかしな髪型で、おちょぼ口で済ました顔で受付に座っている。
このとぼけた顔したおっさんが、
来世案内を担当している天使長だ。
市役所の係長みたいな役回りといったところか。

名前をバカリクスという。
この男、実は魔物出身らしい。
魔物と言っても、道行く旅人に、ナゾナゾを出しては、弄んでいた
しょうもない小悪魔だ。
ある時、いつものように向こうから歩いてきた男にナゾナゾを出した。
「朝には四足、昼には二足、夜に三足で歩くものはな~んだ?」
答えは人間だ!
難なく答えを出されたバカリクスは、
観念して、今までの悪行を侘び、
天界で働くことになって今に至る。

だけど、彼は本当に反省しているのであろうか?
「はい、あなたの来世はイナゴです。」
そう言われて落ち込んでいる女の子に
「コオロギじゃなくて良かったですね。
今、コオロギパウダーが地上では流行ってじゃないですか?皆さんイナゴの方が抵抗ないと仰ってますよ。良かったですね。 」

う~ん、相変わらず食えない男だ。
彼にとって、この仕事は天職ではないかしら?
実に楽しそうだ。