来世の受付に来る者達のことをトラベラーと呼ぶ。
記念すべき私が初めて担当するトラベラーは、18歳の女の子だ。
女の子と言ってもここでは、虫や動物も人間の姿で訪れる。
でも、彼女は正真正銘の人間の女の子だ。
「ここどこですか?
私、死んじゃったんですか?」
「はい、残念ながら。
ここは、地上から来る魂を来世へと導く案内所ですよ。」
威厳があるよう抑揚付けて話すことを心がけた。
うん、この方が女神様っぽくてカッコイイ!
「そっか。あたし、死んじゃったんだ~。」
お、意外に明るいな。
その方がこっちも助かる。
この子の来世は…ワンちゃんか。
犬はCランクに属する。
ちなみに猫はBランク
理由はよく分からない。

「私、生まれ変わるんですか?
来世は何になるんですか?」
「はい、あなたは新たな生命として、生まれ変わります。怖れることはありませんよ。今から、それを告げます。」
厳かに厳かにっと!
私がこの仕事をすると決めた時に、絶対言いたいと思っていた台詞があった。
今こそそれを言おう!

「上原恵梨香。
あなたの来世は犬です。
あちらが来世へと導く扉です。
お行きなさい!」

くぅ~決まった!
一度は言ってみたかったこの決め台詞!

「キャハハハ!受ける~」

へ?

「ごめんなさい!嘲笑っちゃって!
でも天国では本当に言うんですね!その台詞。クスクス。
私、漫画だけの話だと思ってた~
お姉さんカワイイ~」
ハッハッハ
この台詞は二度と言わないように封印した。