大連航空路線の安定化へ 北九州市の秘策は
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九州各地でインバウンド(訪日外国人客)誘致が活発になっている中で、北九州市はアウトバウンド(日本人の
海外旅行)にも力を入れようとしている。行き先は、北九州空港から約2時間の距離にある中国・大連市。
北九州市にとって40年来の付き合いとなる友好都市だ。両市を結ぶ路線を巡っては、2016年10月に
天津航空の定期便が就航したものの、あっという間に路線が不安定化。中国の旅行シーズンが過ぎる度に
運休するという状態になった。原因は、日本の旅行会社とのつながりが薄かったこと。中国の特定の旅行会社
だけに集客を依存する形になり、日本人の利用はほとんど進まなかったのだ。定期便であるはずが、現地旅行
会社のチャーター便のような状態に陥っていた。それでも、せっかくつながった待望の中国大陸への路線。
北九州市は大連路線活性化による中国他都市への路線拡大も見据えていた。大連−北九州線の成功への
思いは並々ならぬものがあったようだ。天津航空の路線が不安定化したころから、幹部職員らを繰り返し現地に
派遣。政府要人や航空会社幹部と面談し、より安定した航空会社の就航を求め続けた。そして両市の友好
40周年を迎えた今年、大手航空会社の中国東方航空が就航することが決まった。国際線の新規就航といえば
すぐにインバウンドの恩恵が連想されるが、航空路線の安定化なしに長期的な観光活性化は望めない。外国人
観光客を誘致するだけでなく、日本側からも継続して旅行客を送り出していくことが不可欠だ。同航空は日本の
大手旅行各社に幅広いネットワークを持っており、大連市へのアウトバウンドも活発になっていくものと期待される
。これから日本人旅行客向けにどんな旅行商品が企画されていくのか―。大連市はかつて満州(現中国東北部
)の貿易港として栄え、戦前は多くの日本人が暮らした。日本による統治時代は、日露戦争後から終戦まで
40年間。街角には今も日本ゆかりの建物が残っており、それらを生かした旅行商品を企画するのも可能だろう
。大連市の玄関口・大連駅舎のモデルは日本の上野駅。駅前大通をレトロな路面電車が走り、繁華街には
日本料理店が立ち並ぶ。私が駐在していた8年前、街のあちこちに日本人が暮らした名残を感じ、戦争を
知らない世代にもかかわらず懐かしい気持ちになったことを覚えている。北九州市は1979年5月1日、大連市
の友好都市となり、環境改善のための技術支援を行ってきた。北九州市が日本のどこにあるのか地図で示せ
なくても、「北九州市」という名前だけは知っているという大連市民は少なくない。中国東方航空はこうした両市
の節目となる5月1日の就航を目指しているとみられる。北九州空港の利用者は山口、大分両県にも広がって
いる。魅力ある旅行商品がたくさん生まれ、かつてのように大連との行き来が活発化していくことを期待している。