深まる疑念
-----------------------
予約を受け付けるとした7月になっても、ヘリコプターは飛ばない。
ホームページで予約が始まった様子もなかった。
会社の電話は相変わらず通じず、コール音も鳴らずに留守番電話になってしまう。メールの折り返しもない。

福井空港にあるはずの、会社の事務所を訪ねた。

セレスティアル航空は4月、空港ビルの2階の2部屋を事務所として使う契約を結んでいた。
鍵がかかっていて中に入ることはできず、ノックをしても誰も出ない。
空港ビル会社の支配人は、4月以降、この部屋に出入りした人を見たことがないという。

事務所にはカーテンやブラインドもかかっていない。
自由に出入りできる空港の展望デッキから、中をのぞいてみた。

そこには、何もなかった。

ttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20221209/K10013915941_2212071540_1207162909_01_07.jpg

福井空港 小川学 支配人
「契約をした4月以降の賃料はまったく支払われていません。支払いの催促をしても会社と連絡がつながらなくて、われわれも大変困っています」

空港を管理する福井県に情報公開請求を行い、セレスティアル航空が提出した事業資料を入手した。

黒塗りの箇所が並ぶ中、会社の使用機材の欄に目が止まった。

ttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20221209/K10013915941_2212071540_1207162909_01_08.jpg
画像を一部加工しています

空港で使用する予定の4機のヘリコプターの機体の番号(機体記号)が記載されている。

国内で使用する航空機は国への登録が必要だ。登録された機体は、JAから始まる数字とアルファベットの組み合わせが記載される。
この記号をもとに航空機登録原簿を調べれば、ヘリコプターの所有者などの情報がわかる。

4機とも別の会社が所有していた。

うち1機を所有する関東のA社に確認を試みた。

記者
「セレスティアル航空という会社が、A社が所有するヘリコプターを使用機材として届け出ているのですが、心当たりはありませんか」

A社担当者
「このヘリコプターは社員の移動のために使っているもので、他社が事業用に使うことはできません。それに、セレスティアル航空という会社は知りませんね…」
実際には使えないヘリコプターを使うとしていた。

“夢の計画”は、スタートの時点でほころびが生じていた。