日本語と高句麗語の類似から、日本語の起源を朝鮮半島に求める言語学者は少なくありません。

宮本一夫氏は、仮説をより具体性のあるものに発展させています。縄文土器から弥生土器への移行に際して、朝鮮半島の無文土器と同じ製作技法で作られている土器の割合が徐々に増えていきました。

西日本一帯の弥生土器が、粘土の積み方や焼き方など、土器の外観からは見えない部分に至るまで一様な変化を遂げているので、各地の人々が見よう見まねで同じ土器を作ったとは考えられません。つまり弥生土器の拡散は、日本語の拡散でもあり、言語による情報伝達がなければ説明できない現象なのです。

同氏は、近年の欧米人学者らの日本語起源論を援用して、無文土器時代の朝鮮半島では古日本語が話されていたとしています。無文土器の起源については、製作技法が共通している遼東半島の偏堡文化段階の土器に求めています。

既に古日本語を話していた偏堡文化の人々が、紀元前3千年紀の寒冷期に遼東半島を南下して、朝鮮半島西北部で無文土器文化が成立します。紀元前1千年紀の寒冷期には、朝鮮半島南部の無文土器文化の人々が南下して、北部九州に水田稲作と古日本語が伝わります。