エンブレム問題 修正内容を完成まで伝えず
9月3日 20時40分

2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムが白紙撤回された問題で、組織委員会が国際商標登録のためデザインの原案を修正する際、
審査委員に修正の方針は伝えたものの、修正を2回したことやその内容を、完成するまで伝えていなかったことが分かりました。

これは、1972年札幌オリンピックのエンブレムを手がけたデザイナーで、今回のエンブレムの審査委員会の代表を務めた永井一正氏が白紙撤回後、初めてNHKの取材に応じて明らかにしました。

永井氏は、去年11月に2日間で行われた審査委員会で、7人の審査委員とともに佐野研二郎氏のデザインを選びました。

この原案については、組織委員会が国際商標登録を行うためにIOC=国際オリンピック委員会と共同で行った国内外の商標調査の中で、
複数の似たデザインが見つかったことなどから、2回にわたって佐野氏自身によって修正が加えられ最終的なデザインが決まりました。

これについて永井氏は、「修正するとは聞いていたが、途中経過は全く知らなかった」と話し、組織委員会が、修正が2回あったことやどのようなデザインになったのかを完成まで、審査委員に伝えていなかったことが分かりました。

永井氏がエンブレムを見たのは7月24日に発表される1週間前だったということです。
また、エンブレムについて審査委員の1人は、「最初のデザインと違う」として認めなかったものの、残り7人は了承したということです。

修正の過程を伝えなかったことについて、組織委員会は、佐野氏のデザインが選ばれた段階から組織委員会に著作権があるとしたうえで、
「外部に流出するおそれがあるため、極めて高い秘匿性の中で修正を行った」として、担当部局と佐野氏だけで修正作業を進めたと説明しています。

永井氏は、「修正の過程については見せて相談してほしかったが、原案を決めた時点から審査委員会からは離れていたし、どうするかは組織委員会の判断になる」と話しました。

そのうえで、新たなエンブレムの選考に向けては、「透明性やみんなの参加が必要だが、門戸を開いて質が悪くなってはしかたがないので、いいものが残るためにどういう方法で選定するかが課題だ」という考えを示しました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150903/k10010215341000.html