http://d.hatena.ne.jp/ohnosakiko/20090410/1239371681
芸大を出て、作家活動をしながら十数年美術系の予備校講師、その後美術系大学非常勤講師(六年前に美術作家は廃業した)
をしてきた立場から見ると、いろいろ思うところはあるが、基本的にはどんなに反対してもやる人はやるし、それで食えなくてもやり
続ける人はいる。というか、大概は制作だけでは生活していけないので、先生稼業をしながら続けるケースがやはり多い。

私の同級生(東京芸大彫刻科1982年学部卒業)で言うと、21人のうち、母校の先生になった人が一人いる(それ以外の大学でもい
るかもしれないが知らない)が、作家活動が注目されて名前を美術手帖などでよく見るような人は今は一人もいない。たぶんひっそ
りと続けている人はいると思うが、一つ上の学年でも同じようなものだ。


美術予備校に来る学生は玉石混合だが、「やめろ」ということはまず言わない。一年間真面目に頑張れば大抵、三流私大のどこか
に入れるくらいにはなるので、商売柄、才能云々などということは言わずに入れるところに押し込むのである。押し込んだ後は本人
次第ということになる。もちろん大学でも「才能ないんだからやめちまえ」などということは言わない。学生はお客さんである。

しかし学生の方もよくわかっていて、学部の四年間で見切りをつけてさっさと就職を決めていく学生もいる。大学出てバイトしながら
数年アーティスト紛いのことをやって、やがてやめていく学生はもっと多い。そこで思いとどまらない人でも30過ぎでやめていく。
私のように40半ばでやっとやめて別の道に行くような者は、たぶん滅多にいない。とは言え自分も、文筆の方だけで自立できるとは
とても思えないので、学歴とキャリアをウリにして細々と食べている状態。