自分の人生を自分以外の何ものかに賭けてしまう人がどれほど多いことか。
自分以外の誰か頼りになれる人、頼りになれる組織、あるいは、自分自身で切り開いていくのではない状況の展開などなど。
他者の側に自分の人生を賭ける人が、世の大半である。
 
しかし、空海 にしろ、この連載に登場した若者たちにせよ、自分の人生をそうしたものに賭けようとはしなかった。
彼らは、他者の側にではなく、自分の側に自分の人生を賭けたのである。
 
この連載に登場した一人一人、それぞれに「船出」の時があった。
これというあては何もないのに、自分だけを頼りに、自分の人生を賭けた航海に、未知の大海へ向けて漕ぎ出していく「船出」の時があった。