>>68

そうだね、広いね
結局、日本列島と朝鮮半島からポーランドとドイツまで
北極からカスピ海まで・・・

領土の広さとそこに住んでいる人々の多様性はロシアにとっての祝福であると同時に、
治世・治政上ともに、呪縛でもある

モスクワ一極集中の問題も、貴殿の指摘の通り、存在するし、
集権(政治・財政ともに)すればするほど、地方が疲弊し不服を唱えるが、
逆に箍を緩めたら、遠心力が働いて国全体の組織が脆くなる

ましてや、今のロシアは特定の地域の高い自治制を認めた性質を帯びた連邦制になっているから、
なおさらこの問題は深刻

帝政時代は、フィンランドやポーランドといった例外を除けば、全国的な統一があったが、
ソ連は民族単位で世界規模の社会主義革命を目指すといった思想的な建前を土台に建国されていたがゆえに、
従前の仕組みが釐革され、その地域に居住している民族に自決権を与え、
各民族は”自発的に”社会主義を自分の進むべき路線として選択し、
自由不羈の意志でソビエト連邦という社会主義がその国是となっている大家族に加わって、
一緒に社会主義を成就させ、資本主義の束縛に喘ぐ労働者の解放を実現せんがため世界革命を目指すという目的だった

ただ、レーニンに代わって、スターリン政権になってから、
コミンテルン推進色から集権的な路線に切り替わった
(つまり、取り敢えず、西側資本主義から独立を確保しつつ、ソ連という一国内での社会主義の建設を目指すという算段)
そして、その過程で、コミンテルン派の大部分は粛清され、力を喪失した

ただ、依然として建国当初の初志の建前は維持され続けていた
だから、ソ連は、理屈上、15か国の緩い連合にすぎなかった

それもあって、経済面を含めた内政が不安定になってきた80年代末に
構成国の独立宣言と局地的な戦争によって崩壊した

が、ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国(通称のロシア)なるもの自体も、
ソ連と同じ原理でなりたっていたから、そこにも問題の火種が隠されていたし、
現代のロシア連邦にも少なからず内在している:
というのは、民族色の強い地域はさらなる独自性・自決を求める声もある一方、
他方、ロシア人多数派の地域からみれば、そうなってしまったら、
自分たちは比較的な不利な立場に立たされる

即ち、○○人には高い自治権を認められた”○○共和国”があるが、
ロシア人共和国みたいなものなんてない、という批判がある

歴史的にいえば、ロシアの中心はかなりヨーロッパ寄りのモスクワにあるのは、
ロシアの国家としての成り立ちの過程でそのフロンティアは主に西から東へ移動していたから

(逆に、その建国過程において先住民のほとんどを殺戮した某大国に比べれば、
よくもわるくも上述の民族的多様性を今も尚具え、
その多大な自治権を容認しているロシアの温情を伺い知る判断材料でもある)

結局、ロシアの国家としての行く末はいかになるのか逆睹しがたいものである
ソ連崩壊という斯の大打撃からの経年はまだ浅いし、まだ新しい自己同一性を模索中である

プーチン氏曰く、ソ連の崩壊を憂えない者は心がないが、ソ連を復活したい者には脳味噌がない
(個人的に、蓋し名言であると思う)

今年3月にプーチンが再選したら、とりあえず敗北主義精神の強い現行憲法の改憲が喫緊の課題だ、という声がある
(その理由は、いまの憲法はソ連が冷戦に負けて直後に制定されたから、かなりの部分で主権国家としての体をなしていないと考えられているから)