女子ログ 夏の思い出の味

 うちのカルピスの飲み方は昔から牛乳割りである。水は一切入れない。
見た目も味も濃厚で、独特の酸味が牛乳によってまろやかになり、
逆に牛乳の臭みが抑えられて飲みやすいという、まさに黄金の組み合わせである。
私は子供の頃から大好きで、夏にはよく飲んだ。

 ところが、友達の家で出されたものは、私の知っているものと見た目から違った。
なんだか微妙に半透明で、飲むと見た目通り、薄くて水っぽい。
これ変だよ、と言おうとして、友達がにこにこしながらそれを飲んでいるのに気付いた。
「夏といえばこれだよね、おいしいよね!」。そう言うその子はとてもうれしそうだったので、
私はその薄くておいしくないカルピスを「ほんとおいしいよね」と我慢して飲んだ。

 まあ、つまりうちの牛乳割りがマイナーな飲み方で、一般的にはこの水割りらしいと知ったのは
ずいぶん後になってからのことだったが、私はこの一件で大事なことを学んだ。

 私の“普通”で“常識”は、他の人にとっての“異常”で“非常識”かもしれない。
他人と違うことは決して悪くないけれど、自分の考えを人に押し付けてはいけない。

 それ以後、それ変だよ、おかしいんじゃない?と言う前に、この一件を思い出すことにしている。

 (ふかみどり・安来市)