トリガーすげええ

・2017年、本社の事業開発部門マネージャーだったRafal Jakiが日本のカルチャーが大好きで、彼から「『サイバーパンク2077』のアニメを作りたい」という提案を受けた
・Jakiはアニメを作るのであれば日本の制作スタジオに作ってもらいたいという想いが強く、実際にさまざまな国内の制作スタジオに打診した結果トリガーに担当してもらうことになった

・このプロジェクトに対して一番強い興味関心を抱いてくれたのがトリガーだった
・トリガーの関係者にウィッチャー3のファンがいて、CDPRとの仕事を勧めてくれた

・CDPRのトップがプロジェクトを「Pull the trigger(引き金/トリガーを引こう)」と言ったのを覚えている

・CDPRから今石さんに監督を務めてほしいという要望があり、Netflixとしても今石さんに監督を務めてもらえるならば是非お願いしたいということで、今石洋之が監督を務めることになった
・日本語版については今石さんが考える最良のキャスティングで進行するという方針で、逆に英語版のキャスティングはCDPRが担当
・CDPRメンバーがオーディションで推した役者さんとは違う方々がアサインされることも多く、アニメのキャスティングはゲームとは違うんだな、と強く感じた

・本作の脚本の内容に関してCDPRとトリガー両者の意識のすり合わせをしていく必要があった
・本作はCDPRが書いた脚本をベースに、トリガーがアニメという表現媒体に適した形へと落とし込んでいく方法を採用している
・CDPRは企画を日本のスタジオに打診する段階で、すでに自分たちで1話のアニマティック(絵コンテや画面構成などを簡単なCGで映像化したもの)を方向性のサンプルとして制作していた
・だがその内容は実写のライブアクションをアニメに落とし込んだような物語であり、「日本のアニメーション」ではなかった。
・このサンプルが持つ方向性の脚本でアニメを作るのではアニメ作品として成立しないのではないか、というトリガー側の意見と、サンプル通りに作りたいCDPR側の意見をすり合わせることになった
・最終的にはCDPRが書いた脚本をトリガーが日本のアニメに適した形へ1からリライトして、そこから絵コンテを作って制作していくことになった

・ちなみにとあるサイバーウェアのデザインもめちゃくちゃ揉めた
・CDPR側の方向性としてはスマートな流線型をイメージしたフォルムで行きたかったが、トリガーはある人物との対比を表現するためにパワフルでゴツゴツとしたイメージで行きたかった。これは最終的にトリガーのデザインになっている

・我々(本間とエルダー)の仕事はトリガー、ひいては今石監督がやりたいことをCDPR本社に納得させることが役割として大きかった
・トリガーは初めて一緒に仕事をする相手であり、実績を抜いて信頼関係ができていないところからスタートしているので、CDPRを説得するのは大変だった

・トリガーが制作終盤に突入してからよく我々言ってたのが「これをこうしたら絶対面白くなるから。信用してください!」という言葉だった
・そんな力押しのもと作中の最終盤の演出が決まったりもしたが、凄く良い形に仕上がったのでトリガーを制作スタジオに指名して良かった

・トリガーは本作を制作するにあたり「日本らしいアニメしか作りません」という明確なスタンスをとっていた。
・「日本人向けの芝居を演じてもらうには日本語をもとにしなければならない。だから絶対に日本語を先に収録させてほしい」ということをプロジェクト進行当初から言っていた
・制作していくなかで、CDPR本社から「これはうちのスタイルにそぐわない」と演出について指摘を受けることもあったが、その度に「これが日本らしいアニメーションなんです!」と納得させていった

・最終的には形になったがCDPRがトリガー側の意見に対してなかなか折れない(笑)だから折り合いをつけるのに2年もかかった(笑)
・「レベッカ」という少女の見た目をしたキャラクターについてのやりとりが印象に残っている
・レベッカはトリガーが考えてくれたキャラで、この娘だけはデザインが出来上がった時にCDPRのクリエイティブチームが「ロリっ子は原作の雰囲気に合わない」という意見を出して、一方トリガーは「出してほしい」と曲げなかった
・結果、CDPRが折れた
・結局レベッカについては全キャストの中でも指折りの魅力をもったキャラクターに仕上がった。今やクリエイティブチームはみんなレベッカにめろめろ