続き

その日は早いうちにカプセルで
3〜4時間既に寝ていたので寝つきは非常に悪かった。

2時半になると明るいほうの照明も消え
漫画が読めるのは本棚の近くだけになった。

右隣の奴のいびきがうるさくて気になっていたのだが
暗くなってしばらくするとその右隣から

「助けてくれ〜」「痛い」「助けてくれ〜」
という蚊の鳴くようなうめき声が聞こえてきた。

まるで稲川淳二の怪談のようだ。

他の人達は寝ているので知ってるのはたぶん当人と俺だけだろう。

面倒なことは嫌いなので
死んでもいいから放っておいた。

明け方になったらその人は前日に湯船から出られなくなって
回りの客が引き上げて店員が連れ出した爺さんだった。

店員を待つ間、イルマがアカスリの営業をして
引っ張り出した人から「ダメ」と言われていた。

まったく迷惑な爺さんだ。