ttp://www.tokyo-np.co.jp/00/thatu/20061206/mng_____thatu___000.shtml
レース中に異常気象、電磁波…? 『ハトが帰れない』

「ハトが帰れなくなっている」。そんなうわさを小耳に挟んだ。
ハトといえば、通信手段に利用されたほど優れた帰巣本能を持つ鳥だが、
ここ最近、伝書バトレースでの帰還率がぐっと減ってきたというのだ。都心のハトが“帰宅”できない理由を探ると。

「異常気象のせいじゃないか」「携帯電話の電磁波で方向感覚が狂うんだよ」
東京・上野公園の日本鳩(はと)レース協会駐車場で先月中旬、愛鳩家(あいきゅうか)たちがこぼしあった。
今年最後のハトレース「菊花賞」開催前夜、参加するハトを登録する持ち寄り会場でのことだ。

今秋のレースでは例年になくハトの帰還率が低いといい、東京・下町の鳩舎(きゅうしゃ)でつくる
東京中地区競翔(きょうしょう)連盟(会員約四十人)の愛鳩家らの表情は曇りがち。
連盟長で荒川区東日暮里の樋口重雄さん(73)は「去年くらいからかなり帰りが悪くなっている」と嘆息した。

ハトレースは規定の距離からハトを放ち、鳩舎に戻る速さを競う。公平を期して鳩舎のある地区ごとに開催される。
秋のレースは、今年生まれたハトを対象に九月末ごろから百キロ、二百キロと
少しずつ飛距離を延ばして開かれ、四百キロの菊花賞が最大のレースだ。
だが、東京中地区では例年、二千羽前後が出場している菊花賞に、今回は千二百八十九羽しか出場できなかった。
菊花賞までに多くのハトが帰還できず失われたためだ。

樋口さんは「百キロや二百キロの短距離では99%戻るのが普通。
悪くても九割は戻るが、十一月初旬の二百キロレースでは七割弱しか戻らなかった」と説明する。
日本鳩レース協会によると、この傾向は三、四年くらい前から少しずつ始まっていたという。