坂道の狭い歩道に木で作られた檻があった。
アイガモのオスとメスが囲われていた。
気がついたオスは人間が恋しいのか外へ出たいのか、こっちへ寄って来て
木戸の隙間をくぐって顔を出して口を開けたり頭から先を出そうとしている。
忘れてしまったのか手術されたのか、決して声を出して鳴くことをしない。
メスは檻の反対側で視力を失ったのか諦めているのかどこも見ていない目で
まったく動かない。
水やり場かエサ場かプールのつもりか50cm×1mのプレートには
ミズゴケがはえていた。
自分がグリーンピースやシーシェパードだったら良かったのにと思った。
もっとも彼らを解放して川に放っても生活能力が無いからすぐ殺されるか
カルガモの集団に縄張りを守られ、食べられず死んでしまう。
何も出来ず去った。