スズメの研究者が、ある地域でのスズメの生態を
調べるために足輪をつけるのは良いと思う。
色の組み合わせとかで個体識別できるのならば、
研究者はものすごく有益なデータを得られるでしょう。

でも本当に渡りについて解りますか?
GPSを別にすれば、再捕獲or再観察されなければ
ルートや時間や休憩の程度は解りません。
山階のツバメ回収地の例を見てみると、フィリピンを別にすれば
ウラジオストック、台北、台中、上海、ホーチミン、クアラルンプール、
ブルネイ、ジャカルタに一致しているように思われます。
つまり、大都市近郊で網を張っている場所でしか回収されないのです。
他の場所に大越冬地があったとしても解らないし、
途中で網を張っていない場所で休んだかどうかも解らないし、
越冬地まで要した時間も解らないのです。

また、何度も言いますが目的を持った研究計画が欠如していると思います。
私自身が大学で生態学をやっているせいもあるかもしれませんが、
目的が絞れていない調査というのは得られるものが少ないと思います。
というか、常識的に計画無しで調査をやることは有り得ない。
また、個々の目的が絞られているのならば足輪以外の代替調査を
見つけることが出来るケースが多いはずです(性比、識別ポイント、夜間等)。
だいたいボランティアとは言え、購入すら禁止されているかすみ網を使った調査を、
資格を持っているからといって好き勝手に出来る現状はおかしいと思います。

もちろんちゃんと研究に生かしているバンダーもいるでしょうが、
そうではないバンダーもかなりの数で居るはずです。
彼らによって、データとしてほとんど意味を持たない足輪つけが行われているのです。
この様な現状では、鳥に対して負担がかかるバンディングに対して反対せざるを得ません。