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鳥インフルエンザ:宮崎県対策監死去 がん抱え陣頭指揮

高病原性鳥インフルエンザが相次いで発生した宮崎県で、
転移したがんと闘いながらまん延防止対策の“陣頭指揮”に立った県庁マンがいた。
当時、家畜防疫対策監だった浜口定男さんだ。
3例すべての終息を見届けるように、終息宣言の1カ月後、57歳で亡くなった。
県は活躍をたたえて今月20日に感謝状を贈り、遺族の労苦をねぎらった。

獣医師資格をもつ浜口さんは72年に入庁した。
家畜保健衛生所など畜産畑を歩み、03年に家畜防疫の実務レベルの責任者である対策監(課長級)に就いた。

浜口さんは04年6月、白目が黄色くなっていることに気づいて診察を受け、すい臓がんが見つかった。
ただちに東京の紹介病院で手術を受けたが、医師は「肝臓に転移していたら余命は6カ月」と告げた。
家族の願いもむなしく、転移が見つかったのは昨年夏。
秋に入院して治療を受け、その結果を聞きに上京する直前の今年1月、最初の鳥インフルエンザが清武町で発生した。

まん延を防止するには、速やかな養鶏場の消毒や鶏の殺処分などが欠かせない。
浜口さんは病をおして約50人の部下を指揮した。
早朝家を出て夜遅く帰宅する日々が続き、土日も出勤した。
列車で通勤する体力がなくなると、妻尚子(のぶこ)さん(55)ら家族が運転する車で県庁に向かった。

「これがオレの最後の仕事になるなあ。最後まで見届けたい」。車の中で、尚子さんにそう話したという。
だが、鳥インフルエンザはその後も日向市と新富町に飛び火。
東国原英夫知事の会見には痛み止めの薬を飲んで同行し、専門的な質問に浜口さんが答えることもあった。