「ねぇねぇ、あれ撮りたいな」
「あれ?ちょっと遠くない?今ついてるレンズだと」
「別にいーじゃんいーじゃん、フレーミングでなんとかするのが真のフォトグラファー、でしょ」
「えー、でも仕上がり見ると点みたいになっちゃうよ」
「トリミングでいいじゃん。大体いっつも適当に現像してるから粒子荒れるんだよ。
ちゃんと温度管理してじっくり現像すれば大伸ばししても大丈夫だって」
「でも、今持ってる現像バット小さいからあんまり伸ばせないし」
「そんなこと言ってるうちにシャッターチャンス逃しちゃうよ?ほら撮った撮った」
「はいはい。お前、スクリーン替えたらファインダーが明るくていいな」かしゃ
「これで一枚撮れたねぇ。…ところで今、露出合ってた?」
「…え」
「さっき日陰を撮ったときに合わせたっきりじゃん。今のだとネガも真っ黒黒だよ」
「…ぉぃ」
「知ぃらないっと。日向に出たときにちゃんと合わせなおさないのがいけないんだよ。
ちゃんと絞りもシャッタースピードも露出もファインダーに表示してるし、あたしは悪くないよ?」
「だいたい、+○−じゃわかりにくいんだよ」
「いや、確認しないと意味ないし」
「…お前なんか中古屋に売っ払ってデジ買ってやるぅ」
「あら、そもそもお金あるの?それに部屋中に転がってる古いMFレンズ、全部買い換えるつもり?」
「何でお前に財布の詮索されにゃならんのだ…」
「冷蔵庫に詰まってる大量のフィルム、オクにでも流すつもりかしら。だいたい、マニュアルカメラ
使いこなせないようじゃ、どんな機材使ったっていい写真は撮れないわ。そういうつもりで
あたしを中古屋から引き取ってきたんじゃなくって?」
「…そうでした。すみません」
「そう、わかればよろしい。さって、次の被写体は何かな〜。おっ道端に錆びた空き缶が落ちてるぞ。
あれなんかどう」
「前撮ったじゃんこれ」
「光線条件が変わるとまた違う絵になるかもよ。さー撮ろー今撮ろーすぐ撮ろー」

nFM2と一緒に歩いてるといっつもこんな感じ。