山の稜線で花が首切り写真になっている。
重なっている2度の露光を個別に見てみると、花写真として花の美しさを出すために工夫した痕跡は無く、風景写真もまたしかり。
何の変哲もない写真2枚を重ねることで、普通ではない写真を花で作り出している。
これは人が日常では隠している暴力的な側面を描き出す効果をもたらしている。
この鍵を持ってあらためて見てみると、風景写真の方は手前の木々が一部稜線より上にはみ出していることから稜線 = borderが侵されていく意味を見い出せる。
ふとしたことで滲み出る暴力性、壊れていく境界、現代社会の恐ろしい一面をあえて自然の事物だけを使って描く。