■【日経新聞、プロの視点】中国に対する韓国人の感情一番極端な人々は、韓国外務省のチャイナスクールの一部の人のように「中国に精神的にひれ伏してしまった人々」だ。
彼らは「中国の偉大さ」にいかに自分が圧倒されたかを率直に語り「韓国は中国に従うのが一番」と公言する。
「韓国人のDNAには中国への従属心が組み込まれているのか」と外国人を唖然とさせるほどだ。

一方、保守派や普通の人々は米国に対し複雑な感情を抱きつつも「独裁国家の中国に心を寄せる気にはなれない」
と漏らす人が多い。典型的なのが韓国の風刺漫画だ。そこに中国が悪役として登場することはまずない。
それは親中感情の現われではなく、中国に対する恐怖心の深さの現れである。
「米国や日本を新聞でいくら批判しても報復はされないが、中国はそうでないから」と韓国の新聞人は明かす。

韓国のある知識人は米国への心情をこう説明する。
「常に助けられてきたため常に絶対的な下位に置かれ、その結果、常に見下されているとの思いを抱かざるを得ない」
「日本人は米国に負けはしたが米国とは同じ土俵で戦ったとの対等意識を持てるし、劣等感を抱く必要がない」のだ、という。
日本は戦前に安保を含め一歩立ちした経験を持つ。それゆえに現状にある程度納得できるのだろうが
「一本立ち」を体験したことのない韓国人は「一度は」と思うのかもしれない。
冷戦期に対立の狭間に産み見落とされたひ弱な国の国民が、初めて大国から離れ、自由度を増せるとの期待を持ったのだ。
彼らは日本と異なり、太平洋の覇権を目指し壊滅的な被害を受けるという失敗の苦い経験はまだ持たない。
今は、現実はともかくもなるべく大きな夢を見たい、ということなのだろう。